School Days #13

AT-Xで放送されて「しまった」らしく、観て「しまい」ました。
これは、「西園寺世界」という、一つの「エゴ」が生み出した悲劇を、伊藤誠清浦刹那桂言葉加藤乙女という装置を介して描き出した物語です。全て自分の思い通りにしてしまおうとして生じる、ズレ、矛盾。その矛盾と戦うことなく、逃げ続けた少女の末路が、今話に凝縮されています。
「世界は伊藤の彼女」と主張し続けた清浦刹那、彼女が伊藤・桂・西園寺の三人の間に秩序を保ち続けていたわけですが、彼女が伊藤に抱かれたこと、そしてその遺恨を残し去ることにより、その均衡は脆くも崩れ去ります。西園寺世界のエゴは、この刹那が作り上げた秩序によってのみ満たされるのであって、次第に伊藤誠をつなぎとめておくことが出来なくなってゆきます。
だから妊娠したと「言った」のでしょう。
この作品は、おそらく今期最大の問題作だと思います。この最終話、桂言葉の起こした狂気の言動は、超倫理的なものです。彼女にとっては、「命を奪う」ことは「恋人を奪う」ことと対価であり、恋人を奪い続け、最後の最後には恋人の「命」まで奪ってしまった西園寺世界に対して、その命を奪うことは、当然の報復なのでしょう。
ただ、自分がまだ咀嚼しきれないのは、彼女は何故伊藤誠の身体を切断したのか、ということ。世界に見せつけるためだけの言動とは思えない、何か特別な想いがあるような気がするのですが・・・難しいです。
それにしても、世界の詭弁を看破し抜いた言葉の放った一言は、アニメ史上に残る名台詞となることでしょう。
中に誰もいませんよ。」
地上波で放送できるシロモノじゃ、ありません。